水の気化熱の効果が実感できました。冷房替わりにはならないかもしれませんが、すだれに霧吹きで水を吹きかけることによる冷却効果を数値で測定してみました。
Last update 2016-08-21 13:40
このところ涼しい日々が続いていましたが、今日6月10日はとうとう28度を突破。28.8度。一時29度を突破しました。
28度台だと、扇風機があれば十分涼しいですね。
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さて、電力に頼らず、自然の力で何とか温度を下げることが出来ないか考えてみました。
先日購入した赤外線温度計。
面白くて色々な場所や物の温度を測定しているのですが、ベランダの表面の温度を測ってびっくり!
なんと37.4度もある!
場所によっては40度を超えていました。
室温が28度程度でも10度ぐらい温度が高いんですね。
気化熱とは、液体が気体に変わるとき周りの温度を奪いますが、この熱のことを気化熱といい、蒸発熱とも呼ばれます。
注射をうつ時に脱脂綿に含ませたアルコールで肌の表面を消毒しますが、「冷たい!」と感じますよね。
アルコールは水以上に気化しやすいので、水を含ませた脱脂綿よりもアルコールの方が冷たく感じるんですね。
ゴキブリを凍らして退治するスプレーも、気化熱を利用して冷やしています。
参照:ゴキブリを凍らせて退治する 瞬間凍殺
また身近な例では、エアコンも気化熱を利用しています。気体が圧縮されて密度が高くなると、逆に熱を発します。(凝縮熱)
逆に圧力を下げてやると、周囲の温度を一気に奪い取ります。
クーラー使用時には室外機で冷媒を圧縮して、室内機で圧力を下げてやることで部屋の温度を下げています。
逆に暖房として使うときは、室内機側で圧縮してやれば熱を発生するわけです。
この仕組はヒーターを使った暖房器具よりも少ない電力で、大量の熱を発生することができるので、非常に効率がいいんです。
夏になると節電、節電と騒がれ、まっさきにクーラーが槍玉に挙げられますが、年間を通したクーラーの電気消費量は、家庭の1年間の消費電力の2%程度と言われているので、実際にはエアコンは非常に節電に貢献した効率の良いものだと思います。
とはいえ、暖房器具は電力以外に灯油やガスを利用できますが、クーラーは電力しか頼ることができないため、夏になると電力消費量がピークになるわけですね。
水の場合は気化する温度や条件がアルコールやクーラーの冷媒に比べ高いので、水の気化熱といっても大した効果がないんじゃないかな。なんて思っていたのですが、購入した赤外線温度計で測定してみました。
まずは水が蒸発しやすい場所に蒸発しやすい状態にしなければなりません。
というわけで先日、窓に設置したすだれが水を吸収しやすい木材を使用しているようなので、霧吹きで水をかけてみました。
水を吹きかけてから即効果がありました!
なんとすだれの表面温度は一気に冷えて21.2度!!
何度か測定したのですが、だいたい20~22度。
ちなみに部屋の温度は28度を超え、ベランダの表面や壁は37度から40度という条件です。
水自体の温度が低いんじゃないかな?
と思って霧吹きの中の水の温度を測ってみると・・・・
26.6度。
気化熱によって約5度ぐらい熱が奪われたということですね。
エアコンがない時代から日本では、打ち水と呼ばれる気化熱を利用した暑さ対策が行われていました。
科学が現代ほど発展していなかった昔でも、感覚的に気化熱の存在を知っていたんですね。
で、霧吹きを噴きかけたプランターの土の表面はどのくらいなんだろうと測定してみると・・・30.8度。
部屋の温度より高いじゃん!と思われるかもしれませんが、ベランダの表面温度は37度から40度ぐらいなので、7度から10度ぐらい低くなっていることになります。
去年の震災の影響で、打ち水や気化熱を利用した冷房替わりの商品が注目されましたが、真夏の炎天下のような状態だと水蒸気による湿度の上昇によって、逆に不快度が上がるようです。
そのため炎天下の時間帯を避け、気温が上昇する朝や気温が下がりだす夕方に打ち水をすることで効果を発揮するようです。
人体が感じる「暑い」「涼しい」は、単に気温だけで測れず、その他に湿度や風速なども大きく関与してくるらしいです。
例えば冷風機と呼ばれる気化熱を利用した送風機があるのですが(扇風機に水で湿らせたフィルターを付け、フィルダーを通過した気化熱で冷やされた風が送風される)、実際には気化熱により気化した水蒸気が湿度を押し上げ、体感的には暑く感じるそうです。
また日本のような高温多湿な気候では、すでに空気中に水蒸気が多く含まれ、それほど気化しないそうで、冷風機による効果は疑問らしい。
そのため気化熱を利用する冷房効果を期待する場合は、風通しのよいからっとした暑さの天気の時がよく、閉めきった状態で湿度が高い環境ではかえって逆効果になるかもしれません。
注射を打つ前の消毒に、脱脂綿に湿らせたアルコールが使われますが、塗った瞬間「冷たい!」と感じます。
アルコールは水よりも気化しやすいので、水を塗られた時よりも冷たいと感じるのです。
写真はアルコールランプの芯の温度を測った時。
室温30度の状態でランプの芯の温度を測ってみると(火はついていない状態)、21.2度でした。
このことからアルコールが気化しやすく、気化熱も水より多く熱を奪い取ることがわかります。
気化熱を利用することによって、周囲の温度より5度ぐらい下がることがわかりました。が、所詮は電力を全く消費しないせいか、部屋の温度を下げるまでには至りませんでした。
またすだれに霧吹きで水を吹きかけても、10分か15分後にはすべての水分が気化してしまって、効果が持続するのはせいぜい10分程度。
なので節電に貢献するかどうかは微妙なところですが、クーラーを付けるか付けないか迷うような微妙な気温の時には、効果ありかもしれません。
28度ぐらいの風が部屋に入ってくるような状況での実験でしたが、すだれの気化熱で涼しくなった風はすごく気持ちよかったです。
最終更新日 2016-08-21 13:40
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投稿日:2012-06-10 | | |