DCモーター扇風機の消費電力 メリットとデメリット
Last update 2013/07/21 19:42
去年辺りから話題になっているDCモーター扇風機を購入しました。
DCモーター扇風機とは、
- 消費電力が低い
- 値段が高い
- 音が静か
と、従来型の扇風機に比べ価格は高いものの、消費電力が低いエコな扇風機で最近エコブームに乗って注目を浴びている扇風機です。
DCと聞くと、DC/ACインバーターという言葉を聞いたことがあるかと思いますが、DC(直流)で動かすモーターの扇風機、という感じでしょうか。
家庭用の電源は、AC、つまり交流で「60Hz」とか「50Hz」のように1秒間に50~60回プラスとマイナスが交互に入れ替わっていますが、これを直流に変換して動く扇風機ということになるかと思います。
消費電力の比較
実際に同じような大きさの扇風機を使用して、DCモーター扇風機と、従来のACモーター扇風機で消費電力を計測してみました。
左が従来型のACモーター扇風機。右が今回購入したDCモーター扇風機。
従来型のほうが一回りほど大きいですが、「強」にした時の実際の風量は殆ど変わらないです。
電力測定にはSANWAのワットモニターを使用しました。
このSANWAのワットモニターは、10W以下のワット数にも対応していて価格も安い(2,800円前後)ので、節電アイテムとして1つは家庭にあると便利なおすすめアイテムです。
DCモーター扇風機の消費電力
さて、さっそく消費電力を測ってみました。
まずは一番風力を弱くした状態で計測。
消費電力は3.5Wとなりました。
電気代を1,000Wで23円とすると、1時間で0.08円。1日10時間つけっぱなしにしても0.8円になります。
1ヶ月あたりの電気代は24.6円になります。
続いて最も風力をあげた状態「強」にしました。
すると消費電力は6.0Wになりました。
「弱」に比べて1.7倍になりました。
実際に使ってみると分かるんですけれど、DCモーター扇風機の「強」は、従来型の扇風機の「強」と遜色のないレベルの風の強さで、余程のことがない限り「強」にはしないと思います。
暑がりの私でも、普段はせいぜい「中」を使うぐらい。
エアコンの補助と使う場合は「弱」~「中」を使う程度です。
つまり、だいたい3.5~5W程度で使用しているってことになるかと思います。
従来型の扇風機の場合
今度は従来型の扇風機の消費電力を計測してみます。
この扇風機は、一昨年ぐらいから購入してめちゃめちゃコンパクトで持ち運びに便利なので、3つも購入してしまったお気に入りの扇風機です。
扇風機というと、縦に長い製品が多いので、夏が終わるとしまう場所に困ったり、持ち運びがしにくいというデメリットがありましたが、この扇風機は凄くコンパクトなので、部屋のアチラコチラに移動させて使ったり、お風呂から上がった時の洗面台や階段などに設置して使っています。
で、一番弱くした時の消費電力は17.2Wと、DCモーター扇風機に比べ、約5倍の消費電力になりました。
一番風力を最強にしてみると、消費電力は約2倍の33.0Wに跳ね上がりました。
従来型のACモーター扇風機の弱点として、風力を3段階といったように段階的な調節しか出来ない、という点があります。
DCモーター扇風機は、どの製品も風力を無段階調節で調節できるんです。(音楽のボリュームのようなイメージ)
DCモーター扇風機の価格
さて、DCモーターの特徴として、構造がACモーター扇風機よりも複雑になるため、価格が高くなってしまうという欠点があります。
従来型の扇風機は、1台3,000円程度で売られていますが、DCモーター扇風機は、2万円を超える製品がザラになります。
仮に、DCモーター扇風機を1日6時間使用し、風力は「中」(DC:4.75W、AC:25.1W)で1年間のうち6月から9月の4ヶ月間(122日)稼働させた場合の1年間の電気代の差額と、ACモーター扇風機を3,000円、DCモーター扇風機を20,000円と仮定して、どれだけの期間使用すれば購入価格の差額(1万7000円)を電気代で補うことが出来るか計算してみました。
1年間の電気代 | |
ACモーター扇風機 | 約422.6円 |
DCモーター扇風機 | 約80円 |
1年間で約342.6円ほどの差額が生じました。
さて、DCモーター扇風機に買い換えた場合の差額(1万7000円)を電気代の差額で補おうとすると、約50年かかる計算になります。
そのため、節約の意味でDCモーター扇風機を購入した場合は、扇風機の価格の初期投資が高くて現実的ではないことがわかります。
おそらく構造が複雑ということは、従来型の扇風機より壊れやすいでしょうし、50年も使い続けるとは考えにくいからです。
仮に1万円のDCモーター扇風機を購入しても、差額7,000円を埋めるには20年ほど使い続け無くてはならない計算になります。
安いDCモーター扇風機を購入する
というわけで、いくら消費電力が少ないとはいえ、2万円ほどもするDCモーター扇風機を購入するのは現実的ではありません。
色々調べてみると、APIXのDCモーター扇風機が2,000円ちょいで売られていることを知り、購入してみました。
見かけはオールプラスチックという感じですが、重量が440gほどですごく小さいので、いろいろな場所に設置して、すごく使いやすい。
あるときはパソコンのテーブルにおいて。あるときはベッドの枕元付近において。あるときはエアコンの風が直接吹き付ける場所において・・・と、効率的に風を有効活用する場所に設置できるんです。
直流に変換するためのACアダプターが付属していました。
製品によってはアダプターを本体に内蔵しているものもあるため、電源周りがスッキリしている製品もあるかもしれません。
DCモーター扇風機の最大の特徴のひとつ、風力を無断階で調節できる点。
ラジカセのボリュームのようにツマミで調節します。
DCモーター扇風機のデメリット
DCモーター扇風機のデメリットとして価格が高い。という点があるわけですが、近年は従来型の扇風機と同じくらいの価格帯の製品も登場していて、だいぶ安くなって来ました。
私が購入したこのDCモーター扇風機のデメリットとしては、
- 首振りがない
- 上下の角度調節が狭い
- リモコンで調節できない
と言ったデメリットがあります。
ただ、私はもともと首振り機能は使わないし、首振り機能付きのDCモーター扇風機も安く売られているので、リビングで使いたい場合なんかはこちらの製品を選択したほうがいいかも。
また、リモコン付きの製品も売られているので、次回購入する場合は、そういった製品にしようかと思います。
ACモーター扇風機ですが、リモコン式を使ってしまうと超便利なんですよね。
縦方向の角度調節も、他の製品は従来型のように調節できるので、デメリットらしいデメリットはもう特になくなりつつあるというのが正直なところ。
ただ、多少壊れやすい(?)、ぐらいかなぁ。
騒音について
逆にDCモーター扇風機のメリットの1つが、騒音が少ない。と言われていますが、これはモーターの仕組み上、DCモーターの方が騒音が少ないということ。そして、2万円ほどの製品は、羽も風切り音が発生しにくく改良してあるものによるものらしい。
ただ、モーター音よりも風切り音のほうが断然大きいので、正直、従来型もDCも騒音に関しては変わらないです。
高い製品は、より騒音が少ないらしいですが、やはり強にすると普通にうるさいようです。
DCモーター扇風機は、仕組み上、消費電力を下げれば回転数も極端に落とすことができるので、「超弱」にした場合、ほぼ無音にすることが出来るという程度で、あまり騒音の違いはないと思ってもらっていいと思います。
よく、扇風機の音がうるさくて眠れない。という人もいるようですが、実際にはそこまでうるさくは感じないかなぁ。
私はかなり睡眠障害のけが多く、少しの環境変化で眠れなくなったりする方なんですけれど、そんな私でも扇風機の音で眠れなくなった。ということはないですね。
それよりは暑さのせいで眠れない、という方が大きいです。
というわけで、騒音に関してはそれほど期待できないし、それほど気にならないレベル。
DCモーター扇風機と従来型の違い
結局のところ、DCもACも、価格と騒音の面ではほとんど違いがないので、「消費電力」が5分の1ほどで済む。という違いぐらいしかありません。
エアコンの消費電力は10~350Wほどなので、エアコンを使うよりずっと扇風機のほうが省エネなので、わざわざ買い換えてまで、というレベルではないのですが、これだけ消費電力が小さいと、いろいろな活用法があるんじゃないかと思います。
お風呂場のカビ対策
お風呂場のカビ対策として、換気扇を回しっぱなしにしている人も多いかと思います。
私の友人も、ほぼ24時間回しっぱなしという人がいますが、意外とあの換気扇ってカビには効果がないんです。
というのも、濡れた壁や床が乾くには直接風が当たらないとそれほど効果がないため、屋根に設置してある換気扇を回しても、ほとんど意味が無いんですよね。
若干お風呂場の湿気をはやく除去してくれる。という効果はありますが、「ずっと換気扇を回しているのに、カビが発生する」という人は意外に多いと思います。
そこで私が実践しているのが、小型の扇風機を回して、風をお風呂場の壁や床に当てること。
こうしておくと、1~2時間でびしょびしょに濡れている床や壁がカラッカラに乾くんです。
ただ、ACモーター扇風機だと、電気代がかかるんで、こいつにDCモーター扇風機を使っています。
仮に10時間つけっぱなしでも、1日0.8円ほど。
3.5Wというと、LED電球よりも消費電力が少ないわけです。
夜間のエアコン代わりに
去年、頻繁に実践して、夏の電気代を押さえた方法が、ベランダに扇風機を置いて、外の冷たい空気を室内に送り込む方法。
昼間35度を超えるような真夏日でも、夜間、22時を超えたあたりから、外の温度は25度近くまで落ちるんです。
人が涼しいと感じる温度は、扇風機を使うと28度から。
25度というと、風が当たるとむしろ寒いぐらいなんです。
ただ、夏の間は夜はまったく風が吹かないので、窓をあけっぱなしにしてもほとんど風が入って来ません。
そこで、ベランダに扇風機を置いて、強制的に外の空気を室内に入れています。
今まではACモーター扇風機を使っていましたが、今年からはより電気代が少ないDCモーター扇風機を使うようにしました。
まとめ
DCモーター扇風機が登場した頃は、3~4万円も出して購入して、電気代が◯◯円安くなった!なんて言っている人がいましたが、明らかに計算がおかしいです。(笑)
実際には永久に壊れないわけでもないため、節約するために買い換える、という購入理由は、DCモーター扇風機には当てはまらない気がします。
それよりは、従来の扇風機が壊れてしまったので、買い換えたい。とか、エアコンの使用時間を少なくするために、新たに扇風機を買い足したい。という場合に、威力を発揮すると思います。
電気代は消費電力(ワット)で計算されるようで、ACモーター扇風機からDCモーター扇風機に買い換えることによって、わずかですが電気代は安くなります。
蛍光灯からLED電球に買い換えた場合、単に消費電力が少なくなる。というLEDのメリットよりも、スイッチをいれるとすぐにつくというもう一つのメリットのほうが大きいという理由で、買い換えるメリットはありましたが、もともと消費電力が少ない扇風機を買い換えるだけのメリットはない気もします。
特にDCモーター扇風機は、消費電力は少ないものの、電圧などはACモーター扇風機と殆ど差がなく、余分な電力が捨てられているという面を見ると、電気代は安いものの決してエコな製品ではないようです。
とはいえ、エアコンをなるべく控えて扇風機で代用しよう。なんていう意識が、多くの人に芽生えてくれることを期待して、今回記事にしてみました。
関連ページ
Yahoo!ブックマークに登録 | にほんブログ村 家電・AV機器 | | |