ベランダ菜園と畑の違い

ベランダ菜園で畑と同じように野菜を育てることが出来るのでしょうか?実際に畑で野菜を育ててみて、ベランダのプランターや植木鉢で育てる限界を感じました。

 
 

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ベランダ菜園と畑の違い

 

 

Last update 2012/08/04 23:45

40歳を超えてやっと農業に目覚めました。(笑)
私の家はもともと兼業農家(普通の仕事をしつつ、農家もしつつ)でした。が、うちの両親は私に畑仕事を強制することはなく、ずっとオヤジ一人で畑仕事をしていて結局こんな歳まで畑仕事はやらずに来てしまいました・・・。
去年まではおやじが畑仕事に向かう音(軽トラに耕運機を積む音とか)を部屋で聞きつつも、心では「申し訳ないなぁ」と思いつつ、聞いて聞かぬふりをしていましたが、どういうわけか今年は自ら進んで「畑行ってくる」なんて言うように。
そのきっかけとなったのがベランダ菜園を始めたことだったんですけれど、ここ数ヶ月ベランダ菜園と畑仕事をしていて違いがわかってきたので、比較してみたいと思います。

畑とベランダ菜園の違い

ベランダ菜園のメリット

気軽に始められる

ベランダ自体がない場合は無理ですが、畑に比べはじめるためのハードルが低いです。
私のように畑があれば(借りているだけですが)ある程度ハードルは低いわけですが、一般の人が畑を借りるためには、場所を用意するだけでハードルがかなり高いでしょう。
その点、ベランダ菜園はベランダやベランダがなくても部屋の中ではじめることもできます。
ベランダ菜園に必要な道具や土などもホームセンターに揃っていますし、あとは時期さえ適切なら、だれにでもはじめることができます。
農業を始める切っ掛けとしても、私のようにベランダ菜園をきっかけに農業に目覚める人もいるかもしれませんし、とりあえずはベランダ菜園から始めてみるのもいいかもしれません。

雑草が生えない

ベランダ菜園を行う場合、土はホームセンターで売られているものを使うと思いますが、ほぼ100%、雑草が生えません。
これは畑仕事にはないメリットです。

何も手入れをしていない畑というのも畑仕事の7割ほどは雑草の手入れです。
左の写真は私の畑の一部。おやじはもともと雑草の手入れを行う方ではなかったのですが、入梅前に骨折してしまって全く畑の手入れができなくなってしまいました。で、私が手伝い始めた頃にはこんな状態に・・・。
畑なのか原っぱなのかわからない状態です。
畑は化成肥料を含んで耕運機で耕した土なので、雑草もすくすく育ちます。

私の農作業も8~9割は雑草むしりで終わっています。
ここまで伸びてしまうと手で雑草を抜くのは至難の業になってきます。

草刈機で雑草除去どうするのかな~。と思ったら、草刈機で一掃することに。
草刈機などを自分で用意しなくてはならない点も、ベランダ菜園とは違いますよね。

雑草の山やはり機械の力を借りると違います。
あっという間に雑草の山に。

雑草を刈り取ったあと雑草を刈り取った後の様子。
先ほどのボーボーの雑草の状態に比べると、見違えたようです。

このように畑仕事では、ほぼ雑草との格闘と言っても過言ではありません。
ただ、きちんと手入れをすれば(こまめに草むしりをしにいけば)、草がほとんど生えない畑にすることが可能です。
うちの親父みたいにめんどくさがり屋の場合は、草刈機の力を借りなくてはいけないかもしれません。

で、私もおやじの「」を引いているのか、ひじょう~~~にめんどくさがり屋です。というか、農作業を手伝わなかったのも真夏の熱い中、草むしりをするのが嫌だったから。
蚊はいるし、暑いし、汗かくし、めんどくさいし、腰は痛くなりそうだし・・・。
それが実際にやってみるとこれがけっこうたのしい。
楽しいというか、休みになると畑のことが気になるようになりました。
イヤイヤやる。というか、なんだろうな・・・。体が自然と動くというか、決して「仕方がない」的な感じはないんです。

次行ったときはどれくらい成長しているかな~。とか、次は何を植えようかな~。なんて考えるようになりました。

水やりが楽

水やり畑に行くときは毎回20リットルのポリタンクに水を入れて持って行っているのですが、20リットルの量ですらこのように野菜の周りにちょこっと湿らす程度にしかなりません。
ところがベランダ菜園の場合、2リットルのジョウロがあればたいてい1~2回ぶんの量ですべての野菜に水を与えることができます。
畑は毎日行く事はできませんが、ベランダなら家にいる間いつでも水を与えることができます。

ただ、後で畑のメリットでも書きますが、畑はほとんど水やりの必要がありません。やっぱり大地と鉢植えでは土の量が違います。

収穫が楽

ミニトマトのように毎日たくさん取れるような野菜の場合、収穫するのが楽です。
野菜の中にははやく収穫しないと傷んでしまうものがあるので、ミニトマトのように次から次へと実がなる野菜などは、ベランダ菜園のほうがむいているかもしれません。

畑のメリット

今までのベランダのメリットを見てきて、「あぁ、畑なんかよりベランダ菜園でいいや」なんて思う方もいるかもしれません。が、畑には畑なりのメリットがあります。というか、畑こそが植物を育てる最も適した場所です。
次から畑のメリットを見てみましょう。

収穫量が違う

ベランダで育てたレタスこちらはベランダのプランターに植えたレタスです。
100円ショップで購入したレタスの種なのですが、レタスのような比較的初心者向きの野菜の場合、プランターでも簡単に育てることができます。
が、スーパーなどで売っている結球レタスの場合、プランターだとうまく育ちません。
ご覧のように毎日水も与え(1日2回)、肥料もたっぷり上げたのに結球(丸まること)したレタスは1個もありませんでした。
原因はいくつかあるのですが、毎日せっせと手入れもしてもこの状態です。

植木鉢で育てたレタス植木鉢に植えたレタスもこの有様・・・。
結局、収穫しても食べられる部分はたった5割ほど。
しかも葉が硬いし、苦い!

畑に植えたレタスこちらは畑に植えたもの。
プランターに植えたレタスを間引いた時に、捨てるのがもったいなくて畑に植えたのですが、ご覧のとおりに!
プランターに比べ週に2回、水を与えた程度でもこんな大きくなりました。

結球しているレタスその内の幾つかは結球していました。

虫がつかない?

プランターで育てたレタスは水やりと虫退治との格闘でした。
レタスは比較的害虫がつかない野菜の一つなのですが、まずは「ハモグリバエ」にやられ、続いて青虫にやられ、毎日害虫がついていないかチェックする日々でした。
ところが畑に植えた方はほとんど虫が付きませんでした。
12個程度のうち、1つだけアブラムシがついていましたが、それ以外はほとんど害虫はついていませんでした。

他にもネギやかぼちゃ、さつまいも、じゃがいも、里芋を植えているのですが(おやじが植えた)、害虫対策はほとんどしていません。

水やりをしなくても平気

水やりベランダ菜園の場合、7月以降はほぼ毎日水を与えないと、すぐに萎れてしまいます。
特にプランターの場合は、1日2回か3回ぐらい水を与えないとすぐしおれます。
ところが畑に植えた野菜は、ほとんど水やりをしなくてもかれることがありません。
まず、朝は朝露のお陰で雨がふらなくても地面がひんやりしめります。
それに晴天が続く真夏でも、乾いているのは土の表面だけで、少し掘れば湿った土が顔を出します。
広大な土の中には非常に多くの水が含まれているようで、プランターや植木鉢と違い、根を土深くまで張ることが出来るせいか、水やりをしなくてもしおれることがないのです。

逆に畑全体を水やりしようとしたら、非常に大変です。
まず20リットル程度では全然足りず、湯船いっぱいの量の水がないととても畑全体の水やりは行えないと思います。

畑とベランダ菜園の比較

もし畑を借りることができ、畑の手入れにいく時間を設けることが出来るのであれば、断然畑の栽培をお薦めします。
ベランダ菜園で自給自足はほぼ無理ですが、畑ならじゃがいもや里芋、玉ねぎのような収穫しても半年以上もつような野菜であれば、ほぼスーパーで買うことはなくなります。

2012年の収穫量左の写真は2012年のじゃがいもの収穫量です。
今年はおやじの怪我のこともあり、この量でも不作とのことでした。
例年であれば、この倍の量は採れるらしいです。
しかも今年は小ぶりばかり。
それでもこれだけの量があれば、毎日じゃがいもの料理が出てきてもスーパーで買う必要はないでしょう。
先日、スーパーでじゃがいもを売っていたので、価格を見てみると5個入りで298円でした。
多分、うちの畑でとれた今年のじゃがいもの量は、価格に換算すると1万円分程度はとれたんじゃないでしょうか?
うちの畑はそれほど広くない(30メートル四方程度)のですが、この量です。
ベランダで植えた場合、せいぜい3~4本ぐらいでしょうから、収穫量が全然違います。
そのぶん、雑草の手入れや畑を耕したり、肥料を与えるのでも大変なのですが、手間がかかるぶん収穫量が違うのが畑とベランダの違いでしょう。

畑とベランダにむいている野菜

ベランダにむいている野菜

  • トマト・ミニトマト
  • ピーマン
  • サニーレタス
  • 玉ねぎ
  • いちご
  • ミツバ

基本的に実がなるようなナス科の野菜はベランダにむいているような気がします。
ナス科の野菜は連作ができない(同じ場所で毎年植えること)ので、ベランダ菜園で土を入れ替えしながら植えたり、水耕栽培のように土を使わず育てることもできるので、トマトなどはベランダ菜園でいいかもしれません。
レタスは結球するような大きなレタスは、ベランダでは難しいのですがサニーレタスやサラダ用の小型のレタスはベランダでも十分、収穫できるレベルまで育てることができそうです。

イチゴやミツバのように、あまり大きくならないような野菜(果物)も、ベランダ菜園で十分育てることができそうです。

畑にむいている野菜

  • じゃがいもさつまいものような根を食べる野菜
  • レタスやキャベツ、白菜といった大型の葉を食べる野菜
  • ごぼう、ネギのような地中深く掘る必要がある野菜

基本的には畑に向いていない野菜はないです。
どの野菜でもベランダで育てるより大きくたくさん育てることができます。
その中でも一度植えたら、あまり手入れをしなくてもいいじゃがいもやさつまいも、里芋などは畑に植えることによって、放置でも(草むしりや土をかけたり剃る必要はありますが)収穫できるまで育ってくれるので、初心者でも畑さえあれば充分育てることができます。

レタスやキャベツ、白菜のように結球するような野菜の場合、ベランダのような気温の差が激しく、根があまり張れない環境だと、うまく結球してくれないようです。

ごぼうやネギなどもベランダで育てることができますが、地中深く根を張るので、プランターや植木鉢だと限界があります。
玉ねぎのようにそれほど地中深く植える必要がないものは、ベランダでも育てることが出来るかもしれません。

まとめ

野菜を本格的に育てて収穫するのであれば、畑が最も適切です。が、住んでいる地域や子育てや仕事などが忙しくて時間が取れない人にとって、畑での栽培は難しいものがあります。
なんだ、ベランダ菜園じゃダメなのか
ということはまったくありません。インターネットを調べてみるとベランダをジャングル化するぐらい上手に栽培している人もたくさんいます。
今後別のページで畑を借りる方法などを紹介していきますが、退職して農家になることを夢見ている人も、ベランダ菜園からスタートするのもお勧めです。

私の例で言えば、まったく農作業をしたことがない私もきっかけはベランダに朝顔とトマトを植えたのがのめり込むきっかけでした。
単に農作業に興味をもつようになっただけでなく、(なんと!)毎日雨戸を開け閉めするようになり(今までは365日、雨戸を少し開けた状態)、布団も干すようになり(今までは数ヶ月に1回)、部屋もゴミが落ちているとコロコロをかけるようになり(今までは数ヶ月に1回掃除機をかける程度)ように自分自身が変化しました!

それと自分でもびっくりなのが、今まではちょっとでも「暑い」と感じたら、ガンガンエアコンをつけていたのに(その代わり寒さには強く、毎年どんな寒くても小型ストーブで十分)、今では30度以上にならなければスイッチを入れなくなりました。
熱帯夜と呼ばれる夜でも、扇風機を利用して外の空気を取り入れてエアコン無しで生活しています。

農作業というと、どうしても手間暇や収穫した量をお金に換算して得か、損か・・・のようなそろばんを弾きたくなるものですが、そういった卓上で計算した値では換算できない自分の中身の変化があると思います。
自然を慈しむようになったり、季節の温度変化を感じるようになったり。
そのきっかけとしてベランダ菜園は最も適したスタート台だと思います。

ベランダ菜園で最も人気があるのはトマトのようですが、トマトは野菜を学ぶ上で最も勉強になる野菜でもあります。
はっきり言ってトマトの栽培は、難しい部類です。
植木鉢に植えて水を与えていれば育つ。といったレベルではありません。
私がはじめてトマトを栽培して感じたのが、

  • 植木鉢の大きさ選びの重要性
  • 与える水の量(トマトは水をあげすぎてはいけない)
  • 害虫対策
  • 連作について

といった点です。
メロンやスイカほど難易度は高くありませんが、トマトは中級クラスレベルの難易度なんだそうです。
はじめから難易度の低い野菜で慣れるのもいいですけれど、トマトのような総合的に野菜作りの基礎を学べ、なおかつベランダでも十分栽培できる野菜をベランダで始めるのは、農作業へ踏み出す第一歩としては、とてもいい材料だと思います。
私自身、まだまだ踏み出したばかりで勉強不足ですが、このサイトで本格的な農作業への足取りを紹介していけたらな。と思います。